仕事で東京へ行くことがあった。東京なら有名な和カフェも沢山あるだろうということであちこちまわった。最初に行ったのは「銀座 林家新兵衛」。まだ開店してからそんなに経っていない新しいお店だ。
友人達と3人で行ったのだけれど、友人達は抹茶ラテと抹茶パフェ、私は焙じ茶を注文した。
普通に考えるとパフェが作るのに一番時間がかかりそうなイメージがあるが、パフェや抹茶ラテが早々に出来てきたのに対して焙じ茶が出てくるのに一番時間がかかる。これだけもったいぶられると否が応でも期待が高まる。
ついに焙じ茶が登場した。その瞬間、私を含めて同じテーブルの3人が焙じ茶の素晴らしい香りに圧倒された。
「え!すごい良い香り!」「お茶ってこんなに香るの!?」 漫画の茶柱倶楽部では主人公の鈴がお茶を出した時に、お客さんがこういうセリフを言うシーンが時々あるが、そんな漫画のシーンが現実でそのまま再現された事に、お茶の香りと同じくらい感動した。漫画とかではお茶の湯気とか香りをフニャ~とした線で表現することがあるけれど、そんな香りの筋が空中に漂う様が目に見えそうなくらいの香りだった。もちろん味も美味しいのだけれど、私はこの気高いと言ってもいいくらいの香りにとても感動した。
お茶は3煎目までいただけるのだけれど、毎回茶道で使う釜で沸かしたお湯で淹れてくれる。また、お茶にはミニどら焼きが付いてくるのだが、菓子皿が九谷焼だったり、一緒にいた友人が金沢在住で「金沢にも林屋さんてお茶のお店がある」と話していたり何となく金沢を感じさせると思っていたら、林屋は初代の林屋新兵衛が金沢で創業し、三代目が宇治に茶園を開いたそうだ。
因みにこちらのお店は夜中までやっていて、銀座の真ん中で夜遅くまでお茶やスイーツが楽しめるのだけど、夜はお茶を使ったカクテルなんかも楽しめる。私は後日1人で行って、「金沢」という日本酒ベースのカクテルを飲んだ。夜の銀座は若い女性が一人で入るのにはかなり勇気のいるお店が多いように思うが、こちらは夜に女性が1人で入るのにあまり抵抗を感じない貴重なお店のように感じた。写真のカクテルに浮かんでいる白いのはメレンゲ。とても固く泡立ててあって甘い、冷たくないアイスクリームみたいだ。お酒に溶かしてもよいそうだが、勿体無いので最後までスプーンですくって食べた。
帰りには銀座のホステスさんが歩いているのを横目で見つつ、ほろ酔い気分で地下鉄の駅に向かった。