ギャラリーに行くことがよくある。陶芸を扱っているギャラリーが多いけど、絵画や彫刻など他の分野が専門のギャラリーにも行く。
ギャラリーによっては行くとお茶を出してくれたりする。何度か行くうちに、作品を見ている間に準備をして「お茶でもどうぞ。」と言ってもらえるようになった時はちょっと嬉しかった。
こういう所で出されるお茶は、お店や店主の性格が現れていて面白いなあと思う。
まず器がそこの取り扱い作家のものだったり、店主のコレクションだったり普通の量産品だったりする。そこで「こういう作家さんも扱ってるんだな。」とか「ここの店主はこういうのが好みなのかな。」とか思う。「これはどなたの器ですか?」と聞いてみると「これは誰それの作品で、うちで個展したことあるんだけど最初はどこそこで出会ってさ、いつもはこんな作品作ってるんだけど(写真が出てくる)でもこの湯呑はちょっと雰囲気が違うでしょ・・・。」とか色んな話が聞けたりする。骨董品に見えるんだけど実は現代の作家の湯呑みを「これは~時代の骨董品なんだよ。」と言ってからかったり、何気ない感じの菓子皿を指して「これ、誰のだと思う?」と言って実はかなり有名な作家のもので、相手を驚かせたりする店主もいた。
またお茶にお菓子を添えてくれる場合もあって、こちらにもお店の雰囲気が現れる。ギャラリー近くの有名店や店主お気に入りの店の銘菓でご当地感を演出する場合。店主が出かけた時に買ったものやギャラリーを訪ねてきたお客さんのお土産で「これは何々さんがこの前来てさ・・・。」とか「この前仕事がてらどこそこに行って買ったんだけど、この店知ってる?」と話が広がる場合。スーパーとかで買えるおかきやチョコレートなどの袋菓子を菓子鉢に沢山盛って「お茶のおかわりもあるからゆっくりしてってー。」と言われて何となく帰れなくなる場合。
お茶はちょっといいのをきちんと淹れている場合もあるけど、大抵は他の色んな仕事で忙しいので冷蔵庫に冷やしてあるのとかティーバッグとかだ。毎日何人もの人に出すわけだし、他のお客さんの相手をしたり電話に出たりしながらタイミングよく出さないといけないから、そういう簡単に淹れられるものが良いのだと思う。でも店主が茶道を嗜んでいるということもあって、お抹茶が出てくるギャラリーがあってびっくりした。
他所でおもてなしで出してもらったものについて、あれこれ言うのは良くないかと思ったけど、私はこういう場所で飲むお茶が結構好きだったりする。美味しいお茶や珍しいお菓子だともちろんうれしいけど、そうでなくても別に良いのだ。上に書いたみたいにそこのギャラリーの雰囲気を楽しんだり、面白い話を聞き出すきっかけになったりもするから。それにいつもは自分で淹れて自分一人で飲んでいるけど、やっぱり料理と同じで人に淹れてもらったものを飲むほうがうれしい。